REVIEW, カメラ

自宅で簡単、大判フィルム現像!~現像編~

余談:フジフィルムがモノクロフィルムの生産から撤退!? もうどうしたらいいのか

 

いつのまにか、フジフィルムが同社唯一にして最後のモノクロフィルム、ACROSS100の大判サイズ(4×5、8×10)の製造と出荷をやめてしまいましたね。

そしてついに全印画紙、アクロス全サイズ生産終了の知らせが・・・・

 

フジフィルムさん・・・ゼロックス買収失敗なんかしてないでフィルム作ってください・・・(懇願

 

ただ、捨てる神あれば拾う神あり、ロシアの謎のメーカーが謎のフィルムの製造販売を開始したそうです。

 

FOQUS・フォーカス Type-D 200

 

本編

先日、35㎜フィルムを4本、大判シノゴフィルムを6枚現像しました。

 

写真の現像はひたすら労働です。

 

そうこれは、趣味としての労働。

 

100年以上前のヨーロッパで、働いたことのない暇ブルジュワたちが発明した「趣味としての労働」が、写真術であるといえます。

 

 

なので、ひたすら大変ですが、その分うまく現像できた時の達成感や、作業の充実感は病みつきになるものがあります。

 

と、散々脅してしまいましたが、実は結構簡単です!

 

 

今回は後編として前回ご紹介した道具や薬品でどのように現像していけばいいかを網羅して、紹介していきたいと思います。

 

目次

  1. フィルムの下準備
  2. 液温設定と温度管理
  3. 現像 
  4. 洗浄、乾燥
  5. 後かたずけ

 

前編 準備編はこちら→

 

次回

応用編『現像の4要素』

 

フィルムの下準備

まず最初に

現像タンクに撮影済みフィルムを装填します。

(ダークバックと大判用フィルムホルダー)

 

装填作業は、ダークバックあるいは暗室のなかで行います。

 

ダークバック、あるいは暗室の中に

 

 

・撮影済みフィルム(巻いた状態のままで、大判の場合はフィルムホルダーのまま)

・フィルムリール

・現像タンク

・はさみ(35㎜フィルムをパトローネから切り離すときに使用)

 

 

などを入れて、装填作業をします。

 

下の写真の、金属のクルクル(フィルムリール)にフィルムを巻いていきます。

大判フィルムの場合は、使用する道具によって変わりますが、今回は準備編でも紹介したコンプラタンクにつめていきます。

 

 

装填作業はダークバックの中、または暗室のなかで行ってください。

 

練習として明るい場所で、テスト用フィルムを大判用のフィルムリールに詰めています。

 

 

こんな感じに装填します。

 

フィルム1枚ごとにリールに沿って装填します。ズレないように、フィルムを上と下の爪で抑えます。

 

1度に6枚の大判フィルムを装填できますが、2枚のフィルムを表向き背中合わせで1つのリールに入れるなどの裏技をつかえば12枚装填できそうです。

 

 

最後はフィルムリールを現像タンクに入れて、蓋をします。(これも暗環境下でおこなってください)

 

現像タンクは光漏れすることなく、外から液体を注排水することができます。

 

135、中判兼用現像タンク

 

大判用現像タンク

 

フィルムを装填したら次は、前回作った薬品と現像タンクの温度設定、管理です。

液温設定と温度管理

現像温度の基本は20℃です。

 

現像液の温度が20℃を下回ると必要時間が長くなり、また完成する写真のコントラストが低下します。

 

現像液の温度が20℃を上回ると必要現像時間が短くなり、写真のコントラストが上がります。

 

 

このように液温の調整によって、出来上がる写真の方向性を左右することが出来ます。

 

液の温度による画像の変化については、応用編で解説いたします。

 

 

そして、ほとんどのフィルムは、20℃の液温で一番いい現像結果が得られるように作られています。

 

ですので、基本は20℃です!

 

 

このように、シンクに設定温度の水を張るなどして、現像中も液温が変化しないように気を使います。

 

室温や気温だけでなく、現像中にタンクに手の体温が伝わって現像液の液温が変化してしまうこともありますので、注意してください。

 

現像

フィルムの現像なんていうと、少し難しく聞こえますが、実はとてもシンプル。

 

 

前回作ってきた薬品液を、フィルムの入った現像タンクに入れて、攪拌して、そして排水するだけです。

 

これを、決まり通りやっていけば、あまり難しいことを考えなくても大丈夫です。

 

難しいこと、そしてなぜそういうプロセスを行うのかの解説は、次回応用編で解説いたします。

 

 

ただし、この作業、腕は疲れるけれど単調で暇だったりします。特に、厳密な時間に気を使う必要のない定着液以降のプロセスだと、ラジオ必須です。

 

写真はブルジョワのプロレタリアごっこですね! やはり。

 

今回は、135㎜フィルムと大判フィルムの現像を連続で行いましたが、基本的な作業は同じです。

 

標準的な現像の場合、以下の順でに行います。 各工程にはこのような意味があります。

水浴

「現像液と同じ温度の水で軽く前浴させ、フィルムからハレーション防止層やホコリなどをとりのぞき、タンクやフィルムの温度を現像液と同じに調整する。」

現像液

「現像液を注水し、フィルムの感光した部分と薬液を反応させ、フィルムのハロゲン化銀を画像の素となる銀粒子へと還元・結晶化させていく。」

停止液

「現像液を中和する効果のある酸性の液体を注水し、現像作用を停止させる。」

定着液

「現像されなかったハロゲン化銀の成分を除去し、フィルムを安定化させる。」

予備水洗

「次の作業で、QW薬液をあまり汚さない為に、定着液の成分をフィルム表面から洗い流す。」

水洗促進剤による急速洗浄(QW)

「この処理によって、次の本水洗の作業時間を大幅に短くする」

本水洗

「水洗によって、定着液の成分を完全に洗い流し、フィルムを長期間保管可能な状態にする。」

現像タンクに薬液を注ぎ、タンクの中で薬液とフィルムを化学反応させ、そして排水します。

 

これを上の順番に繰り返し行います。

 

 

一般的なモノクロフィルムであるトライXに標準現像液「Ⅾ76」で標準的に現像する場合、以下の液温と時間、各行程を行います。

水浴(20℃、1分)

 

水を注水後、数回の倒立攪拌をし、排水

 

現像液(20℃、135㎜フィルムの場合6分45秒、大判フィルムの場合7分45秒)

 

薬液注入後1分倒立攪拌、そのあとは50秒ごとに10秒の倒立攪拌

 

停止液(20℃前後、注排水の時間を含めて1分前後 時間は厳密でなくてよい)

 

薬液注入後30秒の倒立攪拌、そのあと排水

 

定着液(20℃前後、10分以上。時間は厳密でなくてよい)

 

30秒ごとに倒立攪拌と静止を交互に繰り返す。

 

予備水洗(20℃前後 5分ほど)

 

現像タンクの蓋を開き、水道の蛇口から流水で洗浄後、排水

 

水洗促進剤による急速洗浄【QW】(20℃前後 1分ほど)

 

水洗促進剤(QW)を現像タンクに注ぎ、1分ほど浸したのち排水(ボトルに戻す)

 

本水洗(20℃前後の流水で10分以上水洗浄)

 

現像タンクの蓋を開き、水道の蛇口から流水で洗浄

 

 

 

 

ここで大事なのは、大事なのは”倒立攪拌”です!!

 

 

”倒立攪拌”とは、タンクを ”倒立” つまり上下に振って攪拌することです。

 

photo from wikipedia

 

倒立攪拌のあとは、タンク内の気泡を取り除くために、タンクを数回叩きます。

 

タンクの底を、手で強めに叩いたり、机に軽く叩きつけるなどして、倒立攪拌時にタンク内に生じた気泡を破壊していきます。

 

もし、気泡が破壊されずフィルムに付いたまま現像されると、虫食い穴のような未現像のスポットが写真の中に出来てしまいます。

 

【現像中】現像液を注入後、倒立攪拌し、静止させている様子

 

 

また、倒立攪拌はどうしても人によって振りかたの癖や、振る強さなどが違ってきます。そのため、同じ薬品の処方箋でおなじ条件で現像しても、現像する人によって多少の違いが出てきます。

 

そのため、自分の癖を把握し、倒立攪拌の方法よりも現像時間や液温のほうを調整していくことで、安定して狙い通りの現像結果を得られるようなります。

 

 

定着液後、フィルムを一度取り出し、確認している様子。このあと、水洗に移ります。

 

 

本水洗の様子

 

 

水洗の排水

 

洗浄、乾燥

 

乾燥はユニットバスや浴室がおすすめです!

 

僕の場合は、一度床や壁をシャワーで洗い、ホコリがたたない状態にしてからフィルムを吊り下げます。

 

綺麗なフォトスポンジでフィルム表面をぬぐい、水滴を取り除いてから乾燥させます。

 

水滴がついたまま乾燥させてしまうと、水滴の中の成分が結晶化してフィルムのシミになってしまいます。

 

ただ、フォトスポンジの使用にはフィルム表面を傷つけてしまうリスクがある為、気になる方はドライウェルという界面活性剤の希釈液にフィルムを浸してから乾燥工程に入ると良いでしょう。

 

フィルムが乾燥しきる前にホコリが付着すると、もう一度水洗作業からやり直さないとホコリを取り除くことが出来ず、大変苦労します。

 

この作業も入念に気を付けて行いましょう。

 

 

35㎜フィルムは1本160cmほどの長さなので(これはライカ発明者オスカーバルナックの両腕の長さと言われています。)天井のタオル掛けや写真のようにユニットバスの仕切りなどから吊るします。

 

この際、フィルムの下側の端にもクリップを挟み、錘とし、フィルムが垂直に伸ばされるようにしましょう。

 

 

大判フィルムは、フィルムの角の穴をクリップで挟み写真のような角度で吊るします。

 

後かたずけ

 

使用した用具はすべて入念に水洗いし、乾燥させましょう

 

少しでも薬品成分が用具に残っていると、次回の現像の時に悪影響がでる恐れがあります。

 

現像に使用したビーカーや混ぜ棒なそは、薬液のアルカリ性と酸性の違いによって2グループに分けて、それぞれ違うスポンジやタオルなどを使用します。

 

また、洗浄の際、現像タンクやリールなどはスポンジでこするとメッキが剥げてきてしまうので、こちらは手と水だけで洗うようにします。

 

 

 

 

以上は35㎜フィルム、中判、大判いずれも共通の基本的な現像の方法です。

 

大判フィルムの場合は、他に皿現像、JOBOとう現像機械を使った自動現像などの方法があります。

 

皿現像の場合は、人ひとりが作業できる広さの全暗室が必要になります。

そして、JOBOの現像機は個人で導入することはほぼ不可能と言っていい高額な機械です。(生産停止?)

 

大判フィルムは特に現像ムラが出やすいので、繊細なクオリティを求める場合は現像機に頼るのがベターですが、技量を高めれば今回紹介した基本的な方法でもある程度の結果が得られると思います。

 

コンブラ現像タンクが用意できない場合、中判用のタンクに輪ゴムで巻いた大判フィルムをいれて現像できますが、こちらは精密な現像をするのにはあまり向いていません。

 

おなじく皿現像も相当の技量がないとうまく現像するのは難しいかも

 

有名な写真芸術家杉本博司は、大判フィルムがむらなく現像できる装置を自作したそうです。

 

 

 

前回から長く時間が空いてしまいました。

 

次回は、今回を踏まえて、応用編に行きたいと思います。

PROFILE

タイヘイ

桃栗三年柿八年、わたしはきっと五十年。 現在芸大休学生、もうすぐ休学を休みます。 好きな物は歴史とクラシックカメラ

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