REVIEW, カメラ

自宅で簡単、大判フィルム現像!~準備編~

※追記7月1日:後編 自宅で簡単、大判フィルム現像!現像編はこちら

 

いつのまにか、フジフィルムが同社唯一にして最後のモノクロフィルム、ACROSS100の大判サイズ(4×5、8×10)の製造と出荷をやめてしまいましたね。

わたしは今は無きネオパン400によってモノクロフィルムの面白さと銀塩の美しさを知り、ネオパン400生産停止後はアクロス100を中心にモノクロ写真で作品作りに挑み、その使いやすさと諧調の驚異的豊富さを知っていただけに、

 

可愛さあまって憎さ100倍というか、フジフィルムが大嫌いになってしまいそうです!

本編

 

フランスのアパートでフィルム現像をしました。

 

先日、35㎜フィルムを4本、大判シノゴフィルムを6枚現像しました。

 

 

写真の現像はひたすら労働です。 

 

そうこれは、趣味としての労働。 

 

100年以上前のヨーロッパで、働いたことのない暇ブルジュワたちが発明した「趣味としての労働」が、写真術であるといえます。

 

 

なので、ひたすら大変ですが、その分うまく現像できた時の達成感や、作業の充実感は病みつきになるものがあります。

 

 

と、散々脅してしまいましたが、実は結構簡単です!

道具の揃え方から現像、そして片付けまでを網羅して、紹介していきたいと思います。

今回は前編としてどんな道具や薬品が必要で、どう揃えていったらいいか、あたりを書いていきたいと思います!

 

目次

  1. 道具をそろえる
  2. 心の準備、部屋の清掃
  3. 薬品準備・調合

 

後編 自宅で簡単、大判フィルム現像!現像編はこちら

 

1.道具、環境をそろえる

まず、作業環境と道具を揃えましょう。

 

 

現像環境

 

 

・流し台

 

僕は他に場所がないためキッチンを使っておりますが、薬品を使うため、できればキッチンの使用は避けたほうがいいです。もしキッチンで行う場合は現像の前後に良く掃除を。

 

 

・フィルム干し場

 

埃を遮断でき換気扇のある、ユニットバスやお風呂場などが理想的です。

 

 

・生活

 

精神的、時間的余裕が必要です。また家族あるいは同居人の理解が必要になります。1人暮らしなら最高です。

 

 

現像道具

 

 

・撮影済みモノクロフィルム

 

カラーネガフィルムや、リバーサルフィルムの現像は個人では大変難しいとされ、仮にできたとしても正確な色を出しにくいと言われています。

今回の方法で可能なのはモノクロネガフィルムのみです。

 

 

ダークバック / チェンジバック

撮影済みフィルムを現像タンクに入れたり、大判フィルムを大判ホルダーに出し入れするのに必要です。

 

 

フィルムピッカー

 

 

35㎜フィルムのみ必要です。また、難度が上がりますがペンチなどでもOK。

 

 

・現像タンク

 

 

 

 

35㎜と中判は、ステンレスタンクまたはプラスチックタンクの使用が一般的です。

 

大は小を兼ねるで35㎜現像のときも、35㎜1本用のタンクよりも中判用の120タンクをお勧めします。中判用タンクなら35㎜フィルムなら2本同時に現像できます。

 

マスコタンクやパータンソンタンクといった、超高級タンクも存在します。これらは、一回に使用する液量が多い分、現像ムラが起きにくいといった特徴があります。

 

特に、現像ムラが気になりやすい中判をやるひとは高級タンクを考えてみても良いかもしれません。(マスコは中古でしか買えません、パーターソンはたまに専門店の店頭で新品を見かけます。)

 

 

 

大判は暗室内で直接薬液の入った皿に浸す「皿現像」が古くからの方法ですが、暗室と熟練の技術が必要な為、自宅で気軽に現像するときは、今回のように大判専用タンクを使います。

 

また、35㎜4本用ステンレスタンクでも、頑張れば大判現像できるそうですよ!

 

 

・フィルムリール

 

 135㎜用

 

 

 120㎜(中判)用

 

 

35㎜フィルムと中判フィルムで必要です。それぞれ専用のものを使ってください。 ステンレスタンクプラスチックタンクそれぞれに専用品があります。

 

今回の大判現像ではコンビプランの大判用リールを使用します。

 

 

フィルムクリップ

現像後、フィルムを干すのに使うクリップです。フィルム1本につき基本2つ使用します。35㎜、中判、大判どれにでも使用できます。

 

フィルムの乾燥には割と時間がかかるので、クリップの数は余裕があったほうが良いでしょう。

 

(こちらは数が必要なのと、状態の良し悪しが現像に影響しないので、中古品を買うほうが賢明かもしれません。

以前、僕は中野のフジヤカメラの用品館で、1つ100円ほどで沢山買いました。)

 

 

フォトスポンジ

 

現像後、フィルムから水気を取るのに使います。スポンジに汚れやごみがあると、フィルムを傷つけてしまうので、いつでも綺麗なものを用意してください。 これも大は小を兼ねる、デカいほうが良いでしょう。

 

ドライウェル※を使い、かつ埃のない乾燥場を用意できる人は、フォトスポンジを使わないでも大丈夫です。

 

奥左から、ステンレス現像タンク(LPL)、メスカップ、フィルムクリップ、フォトスポンジ、大判フィルムホルダー、フィルムピッカー、ステンレスリール

 

 

 

 

薬品道具

 

現像液に停止や定着の薬品が少しでも混ざってしまうと、現像液が変質して使い物にならなくなるので、薬品道具も基本的には現像液用と停止&定着液用をそれぞれ用意する必要がりあます。

 

また使用後、道具を洗浄する時も、それぞれ専用のスポンジを使うなどして、極力薬品成分が混ざらないように気を付けてください。

 

 

・保存容器

 

現像液用、定着液用、と保存容器は最低でも2つは必要と思います。

薬品をすぐに使い切らず、作り置きやストックをするのでしたら、やはり専用品がお勧めです。

 

 

ペットボトル容器などは、光を透過して薬品を変質させるばかりか、PETは酸素を透過させる性質がるので、薬品が酸化もしてしまう為、使い切りでない場合はお勧めできません。(廃液保存用としてはアリ)

 

 

・計量容器

 

大容量の計れるビーカーがおすすめです。希釈現像液を使う人は別途メスシリンダーが必要です。 現像液、停止液、定着液の三種類用に、ビーカーは3つ用意しましょう。

 

 

・温度計

 

昔ながらの液温度計です。

 

今回は、IKEAで購入した料理用の肉の温度を測る電子温度計を使用しました。かなりいい感じでした。

 

しかし、暗室では電子温度計の液晶は使えないので、やはり液温時計を用意しておくのがよいでしょう。(※今回は暗室作業はありません。)

 

 

攪拌棒


こちらも現像液専用と、それ以外用で2つは必要になります。

 

 

今回は1.5Lの空ペットボトルを容器として代用しています。

 

しかし、これは本当はよくないです。

 

まずペットボトルは酸素を透過します。さらに、光が薬品を劣化させます。

なので、ペットボトルを代用品として使う場合は、薬品はすぐに使い切るようにしましょう。

 

今回は、容器が手に入らなかったのと、薬品を毎回ほぼ使い切りで使うことにしたので、ペットボトルの代用で良しとしました。

 

薬品を作りおく場合は、やはり専用のポリエビンが良いでしょう。

 

 

さらに、異なる薬品の容器同士を絶対に流用、混用しないでください。

現像液に少しでも定着液の成分が混じると使い物にならなくなります。

 

 

現像液用とその他用に、保存容器は勿論のこと、計量カップ、混ぜ棒、洗浄の道具まできっちり分けましょう。

 

 

2.心の準備、部屋の清掃

心の準備と、部屋の清掃、特に現像後フィルムを乾燥させる部屋の清掃が非常に重要となります。

 

 

おすすめはユニットバス、あるいは浴室です。

事前に室内の壁や床にシャワーをかけ、埃が舞い上がらない環境にすると良いでしょう。

 

 

また、写真仕事に付き物の心霊体験を避ける為に、部屋の入口の両脇に盛り塩を置き、天井にお札を貼るのも重要です。

これは僕が現像を学んだ、某美術大学のスタイルです。

 

3.薬品調合

 

現像には以下の5種類の薬液に必要になります。

 

どのフィルムにどんな現像液を使うか、フィルム現像の味噌で醍醐味です。

 

 

・現像液

 

現像液にはいろんな種類があります。

 

それぞれ特徴と各種モノクロフィルムとの相性の良し悪しがあり、自分の作りたい写真のイメージに合わせて現像液とフィルムの組み合わせを判断していくのがフィルム現像の醍醐味ともいえるところではないでしょうか!

 

一般的な現像液だけでも、D-76ミクロファイン、T-MAX Developer、マイクロドールX、ロジナール…など、沢山あ種類があります。

 

今回はD76現像液を使用しました。

 

通常フィルムを現像するたびに原液を継ぎ足して使うD76現像液ですが、今回は現像液と同量の水と1対1で希釈し、使い捨てとしました。その理由として

 

・液温の調節が楽。(例えばD76原液の温度が15℃だとしたら、25℃の水と1対1で混ぜることによって、簡単に適正現像温度の20℃に調整することができる。)

 

・薬品が薄まることによってフィルムを現像液に入れる時間が延びる。 → 現像ムラが起きにくくなる

 

・薄めて液量が増えることで、使い捨てにしても惜しくない。 → 継ぎ足して使うよりも液の品質が安定する

 

などです。そのほかにも、希釈したほうが画像の尖鋭性が増すと言われていますが、ぼくはあまり実感したことがないです。ただ、気持ち粒子がザラつく感じはします。

ちなみに希釈した場合、液を保存できなくなりますので使い捨てです。

 

 

・停止液

 

停止液は現像の停止と、定着液に現像液が混入して定着液の寿命が短くなることを防ぐために使用される物です。

 

おもに、酢酸を希釈したものや、クエン酸を希釈したものが使われます。

 

現像液を現像タンクから出したら直ぐに水を注ぎ、現像液を洗い流してしまえば、酢酸を使う必要はないと思います。

 

 

・定着液

 

定着液の役割を簡単に言えば、

フィルムから現像されなかった銀を洗い流し、フィルムを透明化するというものです。

 

しっかり定着されなかったフィルムは、引き伸ばしのときに光を十分に透過せずに、黒色の発色が悪くなります。

 

事前に水で希釈して、保管・使用します。

 

定着液も様々な種類がありますが、基本的にどれを使っても特に結果に違いははありません。

使いやすさや値段で選んで大丈夫だと思います。

 

 

・QW(クイックウォッシュ)

 

QWとは、簡単に言うとフィルムの仕上げ水洗いの時間をグッと短くする薬品です。

 

定着液浴後、フィルムを水洗いするのですが、そのまま水洗いをするとフィルムから定着液の成分を抜くためには1時間以上水で洗い続ける必要があります。

 

しかし、このQW液に、定着後に軽く水洗いしたフィルムを1分漬けることで、その後の水洗時間を大幅に減らすことが出来ます。

 

こちらも事前に水で希釈して、保管・使用します。

 

 

・ドライウェル

 

ドライウェルは名前の通り、ドライをウェルにする素敵な薬品です。

 

簡単に言うと、洗剤とかとおなじ界面活性剤です。

フィルムを水洗後にドライウェルを希釈した水にくぐらせることで、フィルムについた水滴から表面張力の力を奪います。

これを使うとフィルムの乾燥後に、水滴の跡が残りづらくなります。

 

 

実際の写真です。

右から、日本から持ってきたコダックD76現像液の代替品、ND76(ナニワD76)です。

コダック社製の半額以下で買えます!

左のボトルはフランスにて購入したチェコのFOMA社製の定着液です。チェコには共産時代のフィルムメーカーが残っていて古典的な薬品を未だに作り続けています。

 

古本で買った1940年代の写真薬品の調合の本には、D76現像液が最新の微粒子現像液として紹介されています。

そして未だにD76は現像界のスタンダートです!

 

D76は標準現像液とも、王道ともいわれ、ほぼ全てのフィルムと相性がい良いです。(T-maXだけは別です。)

 

 

ロディナール現像液は古い歴史を持つ、原液から希釈して使用するタイプの現像液で、毎回使い捨てです。

D76にくらべてフィルムの銀粒子が1つ1つ独立してギラっとするのが特徴です。

 

原液を5~100倍の水と希釈して使用するので、一回の現像で使用する液量はわずか10ml程度です!僕は数年前に500mlの原液ボトルを買ってしまい、まだ全然使いきれていないです。冷蔵庫で保管していますが、そろろ劣化が心配・・・。

 

また静止現像などの特殊な現像方法とも相性が良いです。ただしHP5+やFOMA400との相性はゲロ最悪・・・。ただ、色々と工夫することで、この組み合わせでしかできない面白い表現ができます。

 

(※ロジナールは一般的な量販店やアマゾンなどでは手に入りません。Silversaltなどの専門ショップや、マニアックな個人カメラ店で購入できます。)

 

 

・・・などなど、現像液の世界はとても奥深いのです。

 

 

 

 

これはフランスで購入したD76の代替品です。

こちらもチェコのFOMA社製。1Lで6.8ユーロとべらぼうに高い!ナニワ製の3倍くらいします。

 

水に溶いていきます。

基本的には、水(40℃~60℃)くらいに、薬品の説明書に指定されたとおりに混ぜていけば良いだけです。

写真用の薬品は水に溶けにくいものが多く、混ぜ合わせてから半日後から翌日に使用するのが良いとされています。

 

ロジナールなどの原液を希釈するタイプの現像液の場合は、メスシリンダーを使います。今回のように粉から溶いた現像液をさら希釈して使用する場合は、500mlのメスカップが便利です。

 

薬品調合する際は、水に高い温度を求められることが多いので、冷ます必要があり、作ってからすぐに現像にしよう出来ない場合が多々あります。(現役希釈系は別)

なので、現像を行う前日から数日前に薬品を調合しておきましょう!

 

30分あれば準備できるので忙しい人でも薬品の準備は難しくないと思います。精神力はけっこう必要ですが!笑

左から定着液、QW、現像液と三種類の薬品ができました。

 

今回は、停止液は使わずに水停止を選んだので事前の調合はこの3本になります。

 

 

次回はいよいよ、実際の現像作業のやりかた、解説になります!

 

後編 自宅で簡単、大判フィルム現像!現像編はこちら

PROFILE

タイヘイ

桃栗三年柿八年、わたしはきっと五十年。 現在芸大休学生、もうすぐ休学を休みます。 好きな物は歴史とクラシックカメラ

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