ESSAY

映画『ドリーム』は見事な英雄劇!

『ドリーム』を観た。

 

いや〜不覚にも、涙がでそうになってしまった。

それも何回もね……

 

以下、ネタバレ無しの感想。

国家のため、みんなのため、自分のためのロケット開発物語

1960年代初頭のNASAで、アメリカ初の有人宇宙飛行を成功させるため、

人種差別と戦いながら邁進する黒人女性3人のお話。

 

1961年、ジョン・F・ケネディという若き大統領になって新たな時代が到来。

しかしながら、差別問題はまだまだ深刻だった。

黒人(有色人種)はコーヒーのポットも、水飲み場も別、

トイレも別、バスの座る場所も別、図書館も別、学校も別……

キリがないほど、徹底的に差別されていたのです。

頭脳集団である「NASA」の研究室でさえも!

 

そんな時代の中、キャサリン・ジョンソンという黒人女性(本作の主役)は、

「計算手」としてNASAにつとめます。

 

計算手というのはその名のとおり複雑な計算をする役職で、

コンピューターが普及する前までいたという。

なので、英語で「Computer」とは、「計算手」って意味でもあるそうだ。

 

キャサリンは数学の天才だった。

しかし、黒人。

しかも、女性。

なので、男社会かつ白人社会が当たり前だった当時では、いくつもの困難と壁にぶつかることに。

 

けれども、おなじ黒人女性である同僚と切磋琢磨し、

他の誰にもできない実績を積み重ね、

上司や周囲からも認められていく。

そして、一大国家プロジェクトである「アメリカ初の有人宇宙飛行」の成功を、目指すわけです。

 

誰もタバコを吸っていない!

ヒーローズ・ジャーニーという物語の理論がある。

いわゆる英雄劇というやつですね。

小説や映画や漫画でも、

お話には不可欠な理論だ。

 

この映画では、それが見事に応用されている。

くわしく書くとネタバレになってしまうので、実際に観てください。

 

ただ、気になるところがひとつだけあった。

 

それは、喫煙する人が誰一人いない、ということ。

すくなくともわたしが観た限りでは、確認できなかった。

 

それどころ、灰皿すら置いていないんです。

喫煙率が圧倒的に高かった、あの当時だというのに!

 

アメリカ映画は、喫煙シーンに関して非常に厳しく、

あったとすればレイティング指定(R指定)を受ける。

そのあたりを過剰に配慮したせいか、

本作は喫煙どころか灰皿すら排除されているのだ。

 

だけどもこれ、実話を元にした伝記映画なわけですよ。

 

喫煙の健康的被害云々は別として、1960年代当時を再現するならば、そこらへんはしっかりするべきだったでしょう。

でないと、変に嘘くさくなってしまう。

 

差別と戦う黒人女性たちを主役にしているのに、

プラシーボ的に喫煙文化を排除している、

なんて矛盾したものを感じてしまった。

 

ま、普通に観る上では、気にならないと思いますけどね……

 

ともかく、そこらへんをのぞけば、良い映画でしたよ。

当時の時代情勢、差別問題、宇宙開発、女性性……

そんなさまざまなことを考えさせてくれる作品だ。

 

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