ESSAY

恋とはなんだ!?円柱形と恋:マトリックスの恋編

脈略のない話をしよう。

 

恋に落ちたことはあるだろうか?

急ではあるがここでは映画MATRIX」の話をする

 

MATRIX世界を機械が統治し人間は彼らの糧となっている話の映画だ

 

人間は機械に繋がれ、彼らの作り上げた80年代の都市の虚像の中で生活しており、主人公のネオは虚像の世界から目覚め、現実の荒廃した世界へ意識が戻る。

 

マトリックスの話だけれど、恋の話をするよ

まずはそこで虚像の世界についてや、そこでの戦い方などを学んでいく。

 

そのチュートリアルの過程でボスのモーフィアスから敵の存在の説明を受けながら虚像の世界を歩いているのだが、ネオはすれ違う赤いドレスの女性に見とれてしまう。

 

モーフィアスに「赤いドレスの女にみとれてたのか?」と言われ、「みろ」と促されもう一度みると、その女性が敵のエージェントへ姿を変えて拳銃をネオに向けてきたのだ。

映画MATRIXより

私はこの時の彼は恋に落ちたのだと見ている。この恋は広い意味での恋である。それは特定の誰か個人へのものではなく、不特定多数の中の一つの存在に意識の全てが向けられる、と言うよりも引っ張られる状況である。

 

まさにこの映画のこのシーンでは、主人公もモーフィアスも敵のエージェントもエキストラ含め全ての人が黒い服装をしており、その不特定多数の中のドレスの女性だけ目を見張るような真っ赤なドレスを着ている。

 

後ほど明かされるのだが、この女性は仲間のマウスという男性が作ったイメージであり、ネオがこの女性に恋に落ちることは仕組まれているのだが、おそらくこの演出とカメラワーク、様々な要因から、鑑賞者全てがこの赤いドレスの女性に恋に落ちるように作られているのだ。

 

そう、MATRIXを見たものは皆この赤いドレスの女性に恋に落ちたのではなかろうか。もしあなたがこの映画を見たのなら、おそらくそうではなかろうか。

 

恋とはとても興味深い。それまで電車の車窓のように流れていた風景がある一点、恋の対象を中心にして制止しそれまで全て均一に見えていた風景のただ一点にのみ意識が集中する。

その時の時間の進みは制止する意識とは裏腹に無情にも一定に進んで行き、ネオのようにその時間を少しでも長くしようと目で追ったり振り返ったりあがくのである。

 

君は異性を神格化しているかい?

話しは変わるのだが、あるラジオ番組で、女性との恋愛経験がない男性が女性にアプローチできないと相談をしていたのだが、その回答としてコメンテーターが言った言葉が「異性を神格化しているのではないか」という言葉だった。

 

その言葉に私はどきっとしたのだ。その通り神格化し、私は異性のそのあり方やその性質、存在への憧れを強く抱いている。その結果、私はその異性そのものになりたいとすら思うのである。

 

恋愛対象が異性であってもそうでなくても、その対象やその存在への憧れが、それが身近でなければないほど神格化へと向かうのかもしれない。

 

ここでMATRIXの赤いドレスの女性を見てみよう。彼女はまさに神格化されているではないか。

 

彼女のイメージを作ったマウスという男性は、女性関係が豊富であったようには思えないキャラクターとして描かれ、しかし女性への執着も強く持っている。

 

そんな彼は女性を神格化し、そのイメージを赤いドレスの女性として作り上げたのではないだろうか。

 

赤いドレスの彼女はすれ違いざまにネオを認識し、ネオを承認してくれているような微笑みを向けている。

 

まるでアルカイックスマイルだ。

 

恋?抽象的なイメージ?

話を戻そう。恋についてである。

 

すれ違いざまに恋に落ち、ネオのように慌てて目で追って見たところで、相手の内面も、こと外見に関してもたいして情報を得ることがないかもしれない。

 

私は改めて見返すまで、この赤いドレスの女性がどのような女性であったかを思い出せず、その抽象的なイメージと恋に落ちた瞬間の感覚だけがそこにあった。

 

恋落ちる時というのは、その対象の身振り手振り、服装、雰囲気、外見など様々なイメージの形が視界に入り込み、そのイメージが抽象的であってもその輪郭のぼやけたイメージが自身の理想とする恋の対象と重なる部分を発見した時なのかもしれない。

 

振り返るほどでないにしても、ほんの一瞬、意識しないと気がつかないくらいの一瞬恋に落ちることもある。

そして日々その連続が常に起こっているのだ

 

その引き寄せる力が強ければ強いほど、意識は集中し、より一点へと向かっていくのだ。

 

その恋の相手のイメージをより鮮明に受け取るために。

 

 

しかし恋とはどこまで言っても抽象的なイメージである。

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