ESSAY, 美術

グイド・レーニの聖セバスティアヌスと『カルロ・ボノーニの聖セバスティアヌス』 ー週刊聖セバスティアヌス③ー

全国の聖セバスティアヌス・ファンのみなさん、こんばんは!

良きキリスト者のみなさん、父と子と聖霊の聖名によって。アーメン!

 

みなさまにおかれましては聖セバスティアヌスへの傾倒と信仰に、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

 

Marco Palmezzano (1460–1539) Saint Sebastian, Museum of Fine Arts, Budapest

週刊聖セバスティアヌス②のラファエロのセバスティアヌスと同じく、手に謎の羽根をかざしています。

 

本連載は、わたくし【タイヘイ】が欧州放蕩乞食旅中に発見した様々な聖セバスティアヌスをみなさんにご紹介し、セバスティアヌスに傾倒した多くの芸術家と三島由紀夫先生を顕彰する為の記事になります。

 

週刊聖セバスティアヌス①セバスティアヌスとは何者ぞ!?

週刊聖セバスティアヌス②聖マルコ修道院のセバスティアヌス

週刊聖セバスティアヌス特別編セバスティアヌスと三島由紀夫(執筆中)

聖セバスティアヌスとは

かつては黒死病除けの守護聖人として、近代は同性愛者の守護聖人として、キリスト教圏で多くの信仰を集めてきた聖セバスティニアヌス。

 

オスカー・ワイルド三島由紀夫テネシー・ウィリアムズなど、同性愛を作品テーマにした多くの芸術家が、その作中でセバスティニアヌスに触れてきました。

 

 

セバスティアヌスは元はローマの軍人で、キリスト教禁教の時代にキリスト教徒であるがために柱に縛られ、矢で射抜かれ処刑されるものの、神の加護で死ななかったとされています。ハリネズミのように沢山の矢が刺さったとか。

 

 

この逸話から、矢に射抜かれた裸体の男性として、しばしば絵画や彫刻に登場します。

 

 

また、神の加護ゆえに死ななかったことが、

 

 

矢によっては痛みを感じず、むしろ信仰によって法悦を得た

 

 

と解釈されるようになり、時代を経るにつれセバスティアヌスを題材にした作品の表情はどんどんと恍惚感をもったものに変化していきます。

 

このことが、セバスティアヌスのゲイ・シンボル化に一役買ったことは想像に難しくありません。

聖セバスティアヌスの殉教(グイド・レーニ 1615年 ローマ、カピトリーナ絵画館)Genova, Musei di Strada Nuova

さて、そんなセバスティアヌスですが、欧州には実に多量で多様なセバスティアヌスの表現があることを皆さんはご存じでしょうか?

 

今週のセバスティアヌス

 

かつてのエステ家の首都にしてルネサンス芸術と建築の宝石箱、イタリア・フェラーラのエステ家の居城の跡を利用した美術館の中に、こちらのセバスティアヌスはありました。

フェラーラは世界文化遺産にも登録されている、美しい街です。

 

 

まず驚かされたのは、その小ささです。油画としてはかなり小さいサイズです。

そしてキャンバスでも木の板でもなく、銅版の上に描かれています。

 

作者は、イタリアの画家カルロ・ボノーニ(1569年~1632年)

 

フェラーラで生まれ、フェラーラで活躍し、そしてフェラーラで亡くなった画家です。

 

 

聖セバスティアヌスの殉教(グイド・レーニ 1615年)と同じポーズをしています

 

カルロ・ボノーニが活躍したフェラーラと、グイド・レーニが活躍したボローニャは現代でも電車で1時間少しの近い距離なので、ボノーニがレーニに影響受けた、あるいは両者とも同じ先行する絵画に影響を受けたのではないでしょうか。

 

身体に受けている矢の数はどちらも同じ2本ですが、カルロ・ボノーニのセバスチャンは腕に矢を受けています。

 

しかしやはり、彼の顔には苦しみの表情がありません。

 

神の力によって苦しみが光悦に変換された表情というよりは、神の力を信じる者が持つ、どこか余裕のような表情をしています。

 

 

 

こちらもまた、信仰と肉体美を併せ持った、良いセバスティアヌスですね!

来週のセバスティアヌスにもご期待ください!

PROFILE

タイヘイ

桃栗三年柿八年、わたしはきっと五十年。 現在芸大休学生、もうすぐ休学を休みます。 好きな物は歴史とクラシックカメラ

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