ESSAY, 海外, 美術

ドイツ美術日誌:1「個展までの道のり」

公開日時: 2018年5月1日

 

 

現代アートの中心地と呼ばれるベルリンで展示を行うというのは、長年の夢のひとつだった。雲 の上の出来事と思っていたことが、幸運が重なりあれよあれよという間に叶うこととなる。

ポートフォリオを持ってギャラリーへ

きっかけとなったのはSNSで流れてきたオープン・スタジオのお知らせだった。 オープン・スタジオとは普段は見ることの出来ない制作スペースなどを一般に公開するイベントで、 集まった美術関係者たちに自分のポートフォリオなどを見せ、意見を聞ける場にもなっている。

 

オープン・スタジオの様子

 

私が訪れたPrenzlauer Studio/ Kunst-Kollektivは、異なる国出身のアーティスト数名によって運営されている共同スタジ オ兼ギャラリーだ。 裸婦モデルをスケッチするライフ・ドローイングや、街で拾ったたばこを材料にした紙すき体験 会、プランツ・スワッピングというお互いの植物を交換するパーティーなど、いつもとても自由 な企画が催されている。 通りに面した大きなガラス窓から、太陽の陽がたっぷり差し込む広々としたギャラリースペースは、 ポップでアングラなカウンターカルチャーが盛んなベルリンには珍しい、とても落ち着いた雰囲気だった。

 

https://prenzlauerstudio-kunstkollektiv.com

 

過去に行われた紙すきイベント

 


ライフドローイングの様子

 

備えあれば憂いなし

ギャラリーのオーナーに自分のホームページを見せた際、その場で展示 の話があがった。おそらくギャラリーの雰囲気と自分の作品のカラーが合っていたからだろう。 類は友を呼ぶと言うのは本当のことで、自分の好きな場所や人には、作品を気に入ってもらえる ことが多い。下手な鉄砲を乱発するより、自分のテイストを理解してくれるところをひとつでも 見付ける方が次に繋がりやすい。

 


過去の作品1

 

とはいえチャンスをものにするには準備が必要で、当たり前だがポートフォリオは常に見せられる ようにしておかなければならない。制作期間を含めた長期のプランや、言葉の壁がある中でのき ちんとした作品の解説も求められる。 全ては自己責任だし、儲かることでもない。では何故やるのかと聞かれると、展覧会を作り上げ るのがなによりも楽しいのだ。好きなことをやるという点で、アーティストとは身勝手さの固まり だと思う。

 


過去の作品2

 

いざスタート!

展示期間が決定したら、そこに向かってリサーチ・作品制作が始まる。今回私は、海外で生活す る上で感じる、遠いところに住む人とのコミュニケーションの取り方をテーマに作品を制作している。日本とドイツだけでなく、現在アメリカにいる家族とのやりとりや、世界中に住む友人と の会話など、直接顔を見て話せない人との交流を、ビデオ作品や彫刻作品に落とし込もうとして いる。果たして上手くいくでしょうか…。

 


-ギャラリースペース下見中

 

次回はなぜドイツで美術を学ぼうと思ったのかについて書こうと思います

PROFILE

辻梨絵子

東京芸術大学修士課程在籍、現在ドイツに留学中。
2018年6月1日から7日まで、ベルリンにあるアートスペース・Prenzlauer Studio/ Kunst-Kollektivにて個展を開くこととなり、展覧会までの制作の過程やインスピレーションとなった自身の体験・ドイツ文化などを紹介する連載を行う。


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