ESSAY

『アウトレイジ 最終章』は、大物役者たちの名演を味わおう! 

北野武最新監督作、『アウトレイジ 最終章』を観た。

 

北野作品初のシリーズものであった『アウトレイジ』。

本作はタイトルどおり、その完結編だ。

 

見終えた感想を一言でいうと、

この映画の醍醐味は、俳優たちの演技力。そして、本当の主演は、西田敏行だ!

となる。

 

クレジットおよびストーリーの上でも、ビートたけしが主役を演じており、主演ではある。

しかし本作では、前作『アウトレイジ ビヨンド』と、第1作目『アウトレイジ』よりも、彼の存在感が薄いのだ。

 

これには様々な要因が考えられるが、個人的に思ったのは、

役者ビートたけしの明確な「老い」の影響ではないか。

滑舌もいつにまして悪く、かつてほどの威勢というかギラついたオーラは感じられない。

 

まあたけしさん、もう70歳ですからね。

西田敏行の怪演。そして近年で、もっとも豪華な邦画シリーズ!

それをカバーするかのように、本作における黒幕「西野」演ずる西田敏行の演技が、とんでもなく光っている。

 

というより、本作の主演俳優は、まちがいなく西田敏行だ。

今後、日本アカデミー賞はじめとする映画賞では、《助演》男優賞ではなく、《主演》男優賞でとってもらいたいほどである。

 

思えばこの『アウトレイジ』シリーズ、

近年の邦画のなかでは、豪華俳優たちをもっとも使った作品だったのではないでしょうか。

 

先の西田敏行はじめ、

三浦友和、國村隼、北村総一朗、石橋蓮司、中尾彬、塩見三省、小日向文世、松重豊、

といった大御所、それに椎名桔平や加瀬亮といった実力派がぞくぞく出演。

 

そんな名優たちが、徹底的に殺し合いをする、というのが『アウトレイジ』の特色なわけです。

 

つまり、『アウトレイジ』シリーズとは、エンターテイメントに徹した任侠映画だったのだ。

その意味で『座頭市』(2003年)と近い、娯楽に徹した作品だったと言える。

俳優のスゴみを味わう作品

逆に、初期作品である『その男、凶暴につき』や『3-4 x 10月』、

そして『ソナチネ』に見られるような、アングラ感漂うギラギラした要素は感じられない。

 

なので、

「キタノブルーと称される一連の初期中期作品が好き」

という人にとっては、賛否が分かれるシリーズだったと思う。

 

なお本作では北野組の若頭とも言える大杉漣が出ている。

古参ファンとしてうれしかったですね。

また、ピエール瀧の半分お笑い要因的な、だけども重要な役回りも、それなりに良かった。

 

さらに余談になるけども、

『シン・ゴジラ』において、大臣(大杉漣、中村育二)やら都知事(光石研)やら自衛隊員(ピエール瀧)やらやっていた連中が、

本作ではヤクザや刑事になっていると思うと、つい吹き出しそうになった。

と同時に、その演技の幅の広さに関心させられた映画でしたね。

 

※追記

大杉漣さんがお亡くなりになりました。

ソナチネ』でその演技を見て以来、脇役に徹しながらも存在感を与えてくれた役者は、大杉さん以外、知りません。

紋切り型な言い方になってしまいますが、心底ショックでなりません。

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